介護の課題

専門学校釧路ケアカレッジ

 日本の高齢化は急速に進 み、数年前から言われてきた 「2015年問題」は、すで にカウントダウンが始まって いる。また、増加傾向にある 「障がい者」への対応も含め、 介護は次のステージへと進ん だ。かつての介護から、多種 多様な価値観・ニーズに対応 した『自立支援』の時代へと 大きく変化し、『尊厳』と言 うもが重要視されている。支 援を必要とする利用者さま が、どのような人生を歩み、 最後の瞬間をどう迎えるの か。その方が望む人生をサ ポートする。それがこれから の介護福祉士の仕事だ。対処 療法的な対応にあけくれた時 代はもう終わったのだ。
 先日、「日本介護福祉教育 学会」に参加した。今回の学 会の研究発表のキーワードは 『尊厳』。今後、専門学校に課 せられた課題は、この『尊厳 を重んじた実践者』をどのよ うに育成するかだ。この課題 を解決するため、行政、教育 機関、そして施設が一体とな り取り組んでいく必要がある のではないか。

一護一会の精神

専門学校釧路ケアカレッジ教員 武田 直美
(介護福祉士・社会福祉士・精神保健福祉士)

 介護の現場は、きつい(重 労働)・汚い(排泄介助)・危 険(病菌感染)の「3K職場」 と言われています。福祉とお 年寄りが好きだからという熱 い思いだけではできないのが 介護の仕事です。
 しかし、私たち介護専門職 が利用者の生活を支える介護 のプロとして自覚を持って介 護にあたったとき、「きつい・ 汚い・危険」の3K職場は、「感 動・感謝・感激」の“心の3 K職場”になります。“見方” を変えると“味方”になり、 利用者やその家族との強い信 頼関係につながっていくので す。
 私自身、20余年間、福祉 の現場で利用者や家族と深く かかわってきました。そのな かで感じたのは、利用者も家 族も多くは求めていないとい うことです。日常の当たり前 の“ ちょっとした笑顔” “ちょっとした声かけ”を一 番心待ちにしています。そし て、最後まで、一人の人間と して尊重してもらいたいと 願っています。
 高齢者にとって人生の終末 は、明日なのか、数時間後な のか、数分後なのかもわかり ません。だからこそ、介護従 事者は「今このとき」を大切 にした“心くばり”が必要に なります。常に「一護一会の 精神」を持って、介護にあた ることが重要なのです。「一 護一会の精神」とは、人と人 との出会いを大切にするよう に、一つひとつの介護を大切 にしながら、悔いのないよう に心を込めた介護を行うこと です。
 利用者や家族は、大切な命 を預けている場だからこそ、 施設や介護職員に対して多く の不安や迷いを感じていま す。その不安を取り除き、信 頼関係を深めていくために は、介護技術や知識、コミュ ニケーション能力を高めなけ ればいけません。
 「他者とは違う心くばりの ある介護」=「より質の高い 介護」を職場で実践して、「感 動・感謝・感激」の心の3K 職場へ変えいかなけれなりま せん。そして、介護に携わる 皆が、選ばれる介護職員、選 ばれる介護施設になれること を切に願い、そのための様々 な活動を今後とも継続して参 ります。